梶井基次郎名作選　(檸檬/桜の樹の下には/Kの昇天)

檸檬（れもん） 　「檸檬」は梶井基次郎は、自身が少年時代から肺結核に苦しみ、若くしてこの世を去ることとなったが、そのため基次郎の作品には、肺病を患った主人公が多く登場する。「檸檬」の主人公もまた、肺を病んでいた… 　「桜の樹の下には」　桜の樹の下には屍体が埋まっている！ 誰もが一度は聞いたことのあるこの一節ですが、その真意とは…見たものの心をうたずにはおかない美しさを持つ桜の樹に対して、「俺」はその美しさが信じられずにこの上なく不安になり憂鬱になってしまう…　「Kの昇天」 　1926年に同人誌『青空』にて発表された耽美的名作。　月光の下、影と自己との境目を見失った若者が遂げた生と死の物語。　お手紙によりますと、あなたはK君の溺死できしについて、それが過失だったろうか、自殺だったろうか、自殺ならば、それが何に原因しているのだろう、あるいは不治の病をはかなんで死んだのではなかろうかと様さまに思い悩んでいられるようであります。そしてわずか一ひと月ほどの間に、あの療養地のN海岸で偶然にも、K君と相識ったというような、一面識もない私にお手紙をくださるようになったのだと思います。