ペルシャ神話（こどものための聴く絵本シリーズ）

ゾロアスター教と大きく関わりを持ち、ゾロアスター教神話・イラン神話とも言われるペルシャ神話。

この「ペルシャ」という名称は、西洋において、1935年まで現在のイランとその広大な周辺地域を指す言葉として公式に使われていました。しかし、1979年のイラン革命により、国名が「イラン・イスラム共和国」となってからは、ペルシャと呼ばれることはほぼなくなったのです。それでもこうして神話として残っているのはなぜなのでしょうか。それは、光と善の神アフラ・マズダが創り出したとされる「ペルシャ」という国が、歴史的・文化的に大きな意味と高い価値を持っているからだと言えるでしょう。神と悪魔、善と悪、光と闇。それを象徴する、善神アフラ・マズダと悪神アンラ・マンユの存在。このような「善悪二元論」は、人類の思想の原型の一つとなり、のちの様々な宗教にも多大な影響を与えました。このペルシャ神話は、善悪の二人の神の対立から始まり、ペルシャの地にて繰り広げられる様々なできごとを伝える壮大な物語です。

【あらすじ】
天上の世界には光の神アフラ・マズダが、暗黒の世界には邪悪な魔王アンラ・マンユが誕生。
アンラ・マンユは、様々なものを創り出す力を持つアフラ・マズダを妬み、邪魔をしようと天上へと赴きます。
しかし、広大な空や太陽、月など、限りない命を持つものを次々と生み出すアフラ・マズダに太刀打ちできないことを知ったアンラ・マンユ。
彼は味方となる悪魔を創り出すことを思いつき、そこから二人の争いが始まります。 そして数日に渡って続いた争いが幕を閉じたのち、アフラ・マズダは「地上」という新たな世界を創り始めます。それは、植物や動物、そして人間たちの美しい命が輝く世界。その世界をも、アンラ・マンユは壊そうとしますが、アフラ・マズダは真っ直ぐな心でひたむきに人間たちを守ろうとします。そうして守られた人間たちが繋いできた命は、やがて神の声を聞くゾロアスターという一人の人間の誕生へと繋がります。
アフラ・マズダの思いを託されたゾロアスターは、人々に神の教えを熱心に説いていくのです。しかしどれだけ時が経とうと、悪魔と人間との争いが完全に終わるということがありません。そんな中、アフラ・マズダが創り出したペルシャの地に、王が誕生します。ペルシャの地に繁栄をもたらした王の存在は幾代か続いたものの、そこにも悪魔の手はしのび寄り……。

【収録しているお話】
1 神と魔王、2 世界のはじまり、3 ミスラと美しき牛、4 頼もしき動物たち、5 病とのたたかい、6 人間の誕生、7 二人の人間、8 神の霊薬 ハオマ、9 導くもの ゾロアスター、10 死後の世界、11 国と人のあり方、12 ペルシャ王の誕生、13 火がもたらした繁栄、14 タフムーラスの油断、15 試練の冬、16 罪深き王 イマ、17 悪しき蛇の王、18 悲劇の王 ジャムシード、19 救世主 ファリードゥーン、20 二人の勇者、21 悪しき王からの解放、22 悲しき三王子、23 受け継ぐもの ミヌーチール